手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「ここまで来たら、抱いてよ」



「――は?」



…正気なのか、こいつ。

眉間にグッとシワを寄せる俺に、メグは怯まない。

それどころか、俺の手を自分の胸に当てさせた。



「…最後だから」



「どういう意味だ」



「海都なら、わかるんじゃない…?」



メグは立ち膝になり、俺の首に左手を回した。

右手は俺の頬に触れ、キスをして来る。

何も抵抗しない俺に、メグは笑った。



「最後だから。かーくん…?」



昔、メグが俺をそう呼んでた。

今になって、何でそう呼んだかわからないまま、俺はメグの挑発に、乗っかるしかなかった。




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