手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
【K】俺の父親の偉大さ
微かに聴こえるメグの泣き声に、自分への憤りを感じさせた。
俺が大人なら。
こんなに苦しめる事はなかったんだろうか。
親父の言った“後悔”とはこの気持ちなんだろうか。
濡れたままの俺とメグの服を隅に寄せて、女と会う時、専用の服へと着替える。
白いシャツに、黒の細身のパンツを着て、香水を振り撒く。
いつも、ホテルに入ってシャワーを浴びるから、今すぐ浴びる必要はない。
風呂に入る気分でもなかった。
アイロンでクタクタになった髪をセットし、準備は万端。
「…ちょっと、暇潰しに付き合えよ」
だが、階段を降りる途中、親父に捕まった。