手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「何?(笑)」



「…別に」



ニヤッと私から、仁志は目を逸らした。

仁志をからかうのは、ちょっと楽しかった。

地元の駅から30分。

水族館からすぐ傍の駅に着いた。

歩く時はずっと手を繋ぎ、改札を潜る時以外は、手を離さなかった。



「わぁ…」



青の照明で照らされた館内は神秘的で、やっとここの素晴らしさに気付いた。



「ヨダレ」



「で、出てないよ;;」



仁志の声で、私は現実に戻って来た。

別世界に飛んでたみたいだ。

「行こっか」と伝えて、魚のコーナーへと向かった。
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