手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
しかし――…。



「「……」」



互いに熱帯魚などに興味がなく、ただ眺めて歩き、感動の声が出て来ない。

他の家族連れや恋人たちは、鰯みたいな青魚にも歓声を上げてる。



「…イルカとシャチのショーでも見るか?;;」



「見たい見たい!;;」



逃げるように、ショーの会場へと出た。

開演は30分後で、一組の家族連れが居るだけだった。

私たちは一番後ろの席に座って、手を離した。



「仁志は水族館の中で、どんな生き物が好き?」



「シャチ」



「肉食…(笑)」



何となく、わかるような。

わからないような。
< 48 / 92 >

この作品をシェア

pagetop