手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
他愛もない話をしてると、私はふと、家族連れの会話に、耳を疑った。



「チケットを振り回さないの!
無くしたら、イルカショーが見れなくなるんだよ?」



「こっちにもあるじゃん!」



「こっちは水族館の入場券なの」



…“チケット”?

“こっちは水族館の”?



「仁志…イルカショーのチケット買った?」



「……ンン゛ッ、ちょっと待っててな」



…買ってなかったんだね;;

駆け足で、チケットを買いに行く仁志を見つめてから、ため息を吐いた。

1人になったら、少しだけ、思い出してしまった。

海都の事。

少しだけ…。
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