手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
私は洗濯物を持ち、部屋を出た。

脱衣場に服を置き、空さんに「暇!」と、告げた。



「豊が休みの日に遊びに行け」



「パパ、出不精だから無理」



「だからあいつは、中年太りを起こすんだな」



「本当に。でも、まぁまぁカッコいいから」



海さんが何かを探してる。

「ここに…」と、本棚を漁ってると思えば、「あった!」と、青空市場のチラシを出した。



「遥も誘って行かない?」



「行きます!」



「おいっ」



私は空さんの手を掴みながら、手を挙げた。

どこでも良いから行きたい。

鼻の奥に残った香りを、消し去ってくれる場所に。
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