手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「知ってる。萌が離れる事も、予想済み」



だけど、親父の発言に肩の力が抜けた。

自分がイケてると自覚してるし。

萌が離れると感じ取ってるとは、気付いてたけど。

親父を信じたくなかったけど、弱い男じゃ、ダメなんだよな。



「…え?泣いてる…?;;」



「――、」



吏良の一言で、頬に涙が溢れた事がわかった。

慌てて拭い、「ゴミが入った」と誤魔化すと、バイクの音が聞こえた。

ベッドの上で立て膝を突き、出窓を開くと、仁志のバイクの後ろから降りるメグを見付けた。

会話はエンジンの音で遮られてるが、仁志がメグの頭を撫でる姿は、はっきりと見えた。
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