手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「俺は別に、“仁志と萌ちゃんは付き合ってる”とか、何も行ってない。デートは女同士でも使う言葉だろ」



「……」



…ウザッ。

俺は吏良を突き飛ばして、立ち上がった。



「どこ行くんだよ!」



「女と約束あったからシャワー」



「あ、そ。勝手に浴びて来いよ、意気地無し」



吏良をシカトして、俺は部屋を出た。

本当は、約束なんてない。

こんな気持ちで女を見ても、起つものも起たない。

でも、あぁ言った手前、1階に降り、脱衣場に入ろうとすると、リビングから遥さんが出て来た。
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