手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
騒がしさに、1階に来た吏良は、「何事?」と、キョロキョロ。



「誰?」



「美人な貴方も誰ですか?」



…面倒くさっ。

俺はため息を吐いて、脱衣場に入った。

ーーバンッ

扉を閉めようとすると、梁(はり)と扉の間に手が入って来た。



「海都、行け」



「何で俺なんだよ」



親父は俺の胸倉を掴み、玄関に引っ張った。



「萌の部屋な」



「…わかったよ」



大袈裟にため息を吐き捨て、隣の家。

無用心に、開けっ放しにされた大沢家に入って、メグの部屋に行くと、カーテンにセミが確かに止まってた。
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