手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
何気なく窓の外に目を向けると、歩道を歩くカップルを発見した。

仲良く手を繋いで、楽しそうに歩く姿は羨ましく、誰かも知らないカップルに妬ける。



「海。俺らあそこの喫茶店に居るから」



「わかった。なるべく早く買い物して来るね」



「空さんに迷惑、掛けちゃダメだからね!」



市場の会場に着くと、空さんはママと海さんだけを降ろした。

私が何も言えずに居ると、ママは海さんに腕を引かれて、行ってしまった。

車は喫茶店の駐車場へと入り、「降りるぞ」と言われた。



「はぁい」



“奢りだし”なんて思って、私は素直に車から降りた。
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