手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
苦笑しながら、私は目を背けた。

何が言いたいかわかったけど、今のはおかしい。

滑ってる。



「パパは、海都が好きだ。まぁ、診察に付き合ったし、破水した海ちゃんを運んだのも、俺だからだけど」



この話は何度も聞いた。

自慢にならない、自慢話。

“予行練習”のつもりだったみたい。



「お待たせしました。アイスコーヒーと、アイスココアになります。サンドイッチはもう少々、お待ち下さい」



ここのお店は、ココアの上には生クリーム。

アイスと同様、先に食べる。

ストローで我ながら器用に救って食べてると、パパが「ブ――ッ!;;」と、アイスコーヒーを吹き出した。
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