手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
だけど、もう私には関係がなくなったんだ。

そう思い返して、私は前へと向き直り、届いたBLTサンドに手を伸ばした。



「んー、美味しっ」



本当は、味なんてわからなかった。

パパに、これ以上の心配はさせたくなくて、笑って見せてた。



「お前が海ちゃんなら…」



「え?」



「何でもない。海ちゃんにも支えられた分、似てると思っただけ」



…何でも、あるじゃない。



「似てないよ。私は海さんみたいに、頑張れない。守るモノもない」



海さんはどうして、離れる事が出来たの?

相手の幸せを願うだけでどうして…?

私は、そんなに立派な大人になれないよ。
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