手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
【K】電話の向こうの涙
「私と居て、勘違いされない?」
夕方の公園のベンチ。
ブランコに乗って叫んでるのは、入江杏奈ーアンナー。
中学からの付き合いで、唯一、男女の友情が成立したヤツ。
「さぁな」
入江に届くか届かないかの声で呟けば、ブランコは錆びた音を起てて止まる。
「家族を理由にしてたら、高梨は一生、幸せになれないかもよ。全てを知ってて、愛してくれる萌ちゃんが可哀想」
「……」
入江には、親父が本当のところ、“母親の彼氏”だと告げてある。
言えないのは、血の繋がった父親は犯罪者で、服役中である事。