手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
豊さんの涙の一つ一つは、俺の罪悪感を膨らませた。

どう謝れば良いのかすらわからない。



「すいませんでした――っ…」



土下座をする事がやっとで。

許して貰う気もなくて。

1人娘のメグを苦しめた俺を、殴る蹴るなりして、憎しみを出して欲しかった。



「止めろ…海都は悪くないんだから」



優しいと思ってたから。

けど今は、その優しさが辛い。



「お前は子供の父親だ…子供の前で恥ずかしくないのか!」



「…流産させました…」



「は?」



…え?

正座をしたまま豊さんを見上げれば、お袋が「私たちの孫、殺さないでくれる?」と、俺の頭を叩いて来た。
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