手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「空さん?どうしたんですか?」



遥さんの声につられて後ろを振り返れば、親父が俺らに背を向けて、頭を抱えてる。

「日本語を…初めて間違えた」と言いながら。



「空…?」



「“した”と“しかけた”を間違えた」



…馬鹿…。

俺は足が痺れ、立てない為に、ため息を吐きながら、胡座をかいた。

しかし、ため息を吐いたと同時に、床には水滴が散らばった。



「ははっ…馬鹿は俺だ…」



嬉しくて。

メグには申し訳なくて。

素直でいれなかった自分が嫌で。



「間抜けな父親と、泣く息子。
あんたの家族は大変ね」



「失礼;;」



お袋は苦笑しながら、俺にエコー写真をくれた。
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