手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「何してんの、海都」



「…ゲッ;;」



そこには美咲さんが居た。

俺を指差し、「逃げるなよ!」と言いながら、ドアのところまで回って来た。



「隠れて吸うなんて、不良の風上に置けない」



「…美咲が不良を語れるんですか?」



美咲さんは俺を見てニヤリと笑い、ベンチに座って煙草を取り出した。

悪寒がした俺は、美咲さんから目を逸らして新しい煙草を銜えた。



「言っとくけど、海ちゃんも空さんも煙草を吸ってる事は、ちゃんと知ってるから」



「何で」



「海都の香水、甘いから。混ざると臭いんだよ?」



美咲さんはまだ半分も吸ってない煙草を消して、「案内して」と、俺の煙草を捨てた。
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