夏の夜空に星が煌めく【続編更新停滞中】
「…俺は出会ってしまった。
一生を共にしたいと思うヤツが」
「…え」
誰、なんだろう。
…その相手が、私ならいいのに。
私なら、嬉しいのに。
「俺は、どうしても言えなかった。
『待ってて』とか『絶対帰るから』って。
だってそうだろ?
確かかもわからないのに、そんなあやふやな事を言えるわけがない…。
あやふやな言葉で、陽愛を縛り付けたくなかったんだ」
「…」
…私?
どうして私なの?
…けど、確かにあやふやな言葉は嫌い。
だけど、『多分』とかのあやふやな言葉を出すときが自分でもあるから。
だから絶対とは言えない。
「…けど今思えば、それは口実で、勇気がなかっただけなんだ」
「え…?」
勇気がない…?
どうして…?
「どうして勇気がないの…?
あるじゃない。手術だって―――」
「…そういう勇気じゃなくて、“誰かに想いを伝える”勇気だよ」
“誰かに想いを伝える”という勇気は、確かに何よりも難しいかもしれない。
スピーチだって、弁論だって、前に立って皆に話すことが私は嫌い。