マイルド・ガールとワイルド・ボーイ
「………」


「……」


確かに図書室の中から、紀香と相ケ瀬の声がする。


手を拳にして、扉の窓からコッソリ覗いてみた。


――――見なければ、良かった。


目の前には………相ケ瀬に抱きしめられてる、紀香の姿。


胸が…傷んだ。


扉を少しだけ開けて、隙間から2人を見る。


「ずっと好きだった……本気で、小学生の頃から……」


――――ハハ。


よりによって……ライバルの告白シーンを見ちまうなんて…………


自分の運命を呪った。


相ケ瀬の告白を聞く紀香の顔は、ここからじゃ見えない。
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