恋する! マトリョーシカ
「無理に痩せなくても、鈴木さんは十分魅力的よ」
優しく宥めるように言って高橋先生は、ベッドの上に仰向けで横になっている私の髪をそっと撫でてくれた。
「全然そんなことないです。
デブが魅力的なんて、有り得ないです」
私は反発して言い返し、勢いよく布団を頭までかぶった。
「お年頃よねぇ」
溜息交じりの美しい声が、布団をかぶっている私の耳にも届き、布団の上からポン、ポンとお腹の辺りを優しくタッチされた。
「あ、もうこんな時間。
ちょっと職員室に戻らないと。
姉崎くん、後はよろしく」
「え~~!
俺、部活中!」
「すぐ戻るから。
それまで、ね、お願い」
そしてチッという舌打ちが聞こえた。
さすがの野犬も、美しい大人の女性には逆らえないらしい。