恋する! マトリョーシカ
というかですね。
私が『え~~~~!』なんですけど。
けれど、急に保健室内が静かになり、もしや野犬は、薄情にも高橋先生の頼みを無視して立ち去ったのではないかと期待した。
恐る恐る布団を少しだけずらして、視野を得る。
けれど――
私の期待はまんまと裏切られたのである。
ベッドサイドにいつの間にやらパイプ椅子が設置されており、そこに偉そうにドッカリと野犬が腰掛けていた。
私と視線がぶつかると、
「お前さ、なんでダイエットなんか……
好きなヤツでもいんの?」
酷く呆れた顔で野犬は呟いた。
どうしてお前なんぞに、私の屈辱的恋愛事情を話さなければならないのだ。
私が黙っていると、
「まぁ言いたくねぇならいいけどさ」
そう言ってプイと視線を逸らして窓の外の運動場を眺めた。