恋する! マトリョーシカ


「あの、姉崎さんは何年生でしょうか?」

 もしかしたら、この野犬が遊川眞琴先輩の彼氏かもしれない、急にそう思い始めてしまったから。

 それを確かめたくて、遠回りではあるけれど、まずは学年から攻めていこうと考えた。


 美しい人は、外見にこだわらないかもしれない。
 人は、パートナーに自分にない遺伝子を本能的に求める、と聞いたことがある。

 この目の前の野犬は、遊川眞琴先輩が兼ね備えている素晴らしい美点は一個も持っていないが、ないものはいくらでも持っている気がする。
 それが必要であるかどうかは別として。


「ん? 三年だけど。
 お前は?」

 おっとぉ。
 第一関門突破です。
 ドキドキの展開です。

「一年生です」

「へぇ」

 自分から尋ね返しておいて、なんなのだ、そのどうでも良さそうな反応は。


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