恋する! マトリョーシカ
「こういうこと、二度とやめて?
ぶっちゃけ……
迷惑だから」
ふられた。
ふられました。
あ、なんか分泌物が……
涙かしら。
でも何故鼻から?
生温いドロリとしたものが滴り出てくる。
あれ? 鼻水?
そっと右手で拭ってみると、そこには真っ赤な何か。
「うわっ、お前、鼻血っ!
きたねぇなぁー。
マジ勘弁だって」
瀬辺くんは、私が大好きな美しい顔を、原型を留めないほど歪めて。
後ずさりながらも、残酷な言葉を吐き捨てると、疾風のごとくその場を去った。