恋する! マトリョーシカ


「先輩、世の中っていうのは、真実だけを述べればいいってもんでは決してないですよ。
 優しさという名の嘘もあるんです。
 それに、アウェイじゃありませんから。
 アウトでも。
 私、もっと頑張って痩せるんですから」

「なんで?
 お前、可愛いのに」

 先輩はとんでもない大嘘をスルリと口から出した。


「先輩、それ……
 『優しさという名の嘘』のつもりですか?
 からかわないでください」

 何故だかわからないけれど、視界がじんわり滲んで。
 先輩にからかわれたことが、とても悲しかった。

 悪口よりも、ずっとずっと傷付いた。


「嘘じゃねぇわ、ボケ。
 可愛いと思うよ?


 マトリョーシカみたいで」



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