恋する! マトリョーシカ


「お前、可愛いよ。
 今すぐにでも押し倒したいぐらい」

 食われる?
 私、この野犬に食われる?

 でも……
 食われてもいいかも。

 ああ、何てふしだらなことを考えているのだ。
 しっかりしろ、私。


「メチャクチャタイプなんだよ、お前。
 ほら、ポッチャリした子って、抱きしめたら気持ち良さそうじゃね?」

 先輩の真っ黒な瞳は、私をハッキリと映し出していて。
 とても嘘を言っているようには見えなかった。


「抱きしめて……みますか?」

 恐る恐る言ってみる。

 心臓の動きが物凄く激しくて、全身が震えているように感じた。
 そのせいか、声までも震えた。

「いいの?」

 先輩は、カチャリとパイプ椅子を鳴らして立ち上がった。


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