恋する! マトリョーシカ
コクリと頷けば、先輩の腕が私の身体を包み、そして――
ぎこちなく抱きしめられた。
「思った通りだ。
最高」
先輩が私の耳元で囁いた。
「私もです。
とっても気持ちいいです」
先輩はフハッと笑い声を漏らす。
耳が凄くこそばゆくて。
私もへへっと笑ってしまった。
「お前、ほんと最高」
そう言って先輩は更に腕に力を込めて、ギューッと抱きしめてくれた。
ああ……なんだろ。
このフワフワとしたあったかい心地よさ。
幸せって言うのかなぁ。
「とりあえず俺、部活戻るけど、終わるまで待ってろ。
家まで送ってってやるから」
先輩は私から離れると、痺れるほどの素敵笑顔でそう言った。