恋する! マトリョーシカ
「ねぇ姉崎先輩。
お祝いパーティーしましょう」
仲睦まじく手を繋いでの下校時、唐突にそんな提案を投げてみる。
この悦びを、
降って湧いた幸運を、
愛する姉崎先輩と分かち合いたいのです。
「何のお祝い?」
先輩は、隣の小さな私を見下ろして不思議そうに問う。
初対面の時は『絶対に有り得ない!』と思っていた野性的容貌も、今ではすっかり見慣れてしまった。
それどころか格好いいなんて思ってしまうから不思議だ。
やっぱり恋する乙女パワーはミラクルだ。
いや、あばたもえくぼパワーかも知れない。
どっちでもいいや。