恋する! マトリョーシカ


 やがて――

「もしかして、お前……
 痩せた?」

 と。
 糸のように細めた横目でじっとりと私を見下ろした。


「どうしてわかったんですか?
 先輩、鋭い!」

「嫌いだった体重計が中途半端な『好き』に昇格。
 まだ目標体重ではないけど、ほんの少し痩せたっつーことぐらい誰でも想像つくわ」

「なんだ、そっかぁ。
 私はてっきり、先輩には透視能力があるのかと」

 ちょっとがっかりしてしまい、そんな想いがそのまま口から零れ落ちた。


「残念がられる意味がわからん。
 俺、極フツーの平凡な人間ですから、ホモ・サピエンスですから」

 何ですと?
 今先輩、『ホモ』って言いました?


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