恋する! マトリョーシカ


「ケーキでも買って、盛大にやるか?」

「え?」

「お祝いだよ、お祝い。
 お前、自分で言ったこともう忘れたのか?」

 意地悪な微笑がとても格好良く見えて、私の心臓がバクバク大暴れしだして参ってしまう。


「どうして痩せたお祝いにケーキなんですか?
 成績上がったお祝いに、ゲーム買い与えるようなもんですよ?」

 動揺を誤魔化すために、ちょっと不満げに言い返してみる。


「いんじゃね? それはそれで。
 息抜きも必要だろ。
 てか、『痩せたお祝い』じゃねぇだろ?
 『嫌いだった体重計が中途半端に好きになったお祝い』だろ?」

 すごくすごく意地悪な顔。
 けれど、すごくすごく素敵だから、これまた参った、降参、戦線離脱。


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