恋する! マトリョーシカ


 やっぱりケーキはいらないと言い張った私を、先輩は強引に駅前商店街まで連れて行き、この辺ではちょっとばかし有名なケーキ屋さんへと連れ込んだ。

 もじもじと煮え切らない私を尻目に、高校生男子の姉崎先輩自ら恥ずかしげもなく平然とケーキを購入。


 店に居た女性客皆の視線が先輩へと大集合していたことは言うまでもない。



 どういう訳だか先輩は、そのまま私の手を引き、駅近くの先輩の自宅へ直行。

 先輩の部屋で待つこと10分。
 トントンと階段を上る軽やかな足音を響かせ、そうして部屋に戻って来た先輩の片手にはジュースのペッドボトル(2リットル)、もう片方にはグラス二個とそのうち一個には小さなケーキ用フォークが差さっていた。


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