恋する! マトリョーシカ


 という訳で。

 先輩の部屋の四角い座卓に全てが並べられた――
 ――のだけれど。



「どうして三つなんですか?
 二人なのにっ!」


 先輩と私は向き合うように床に座っている。

 そして、
 先輩の前にはチョコレートケーキが一つ。
 それなのに、私の目の前にセッティングされているのは、モンブランと抹茶ケーキの二つ。

 どういうこと?
 納得できない、できる訳がない。


「お前、一個じゃ足りねぇかと思って。
 遠慮すんなって。
 さぁ召し上がれ」

 言った姉崎先輩の、偉業を成し遂げたようなドヤ顔に心底ムカついた。


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