恋する! マトリョーシカ


 けれど、逆らってまた言い合いになるのも嫌だし。
 ここは私が大人になって百歩譲ってやろうと思った。



 モンブランの天辺に乗っかっている栗は大切に取って置くとして、その少し横にフォークを突き立てれば、スーっとスポンジに吸い込まれるような感触。

 これがまた堪らない。


 そのまま口へ運んだ。
 甘さがボワンと広がり、お口の中はパラダイス。

 これもまた堪らない。



 それなのに、何故だかその一口で私は満足してしまったのである。

 私、姉崎先輩の優しさでお腹一杯なのです、きっと。
 仕方がない。


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