恋する! マトリョーシカ


「だって……」

 返す言葉に困って先輩を縋る思いで見詰めていると、

「感じ悪ぃー、つまんねぇ、気分悪ぃー」

 言いながら、先輩の身体はズルズル沈んでいった。
 代わりに座卓の下から先輩の二本の足がニョキニョキ生えて来て、私の足がそれに挟まれた。


「先輩、起きてください」

 その両足を両手で掴んで揺すってみる。

「いや」

 もう先輩の上半身は消えてしまっていて、ふて腐れた声だけが返って来た。


 仕方がないから立ち上がり、先輩の上半身側へと移動した。


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