恋する! マトリョーシカ


 頭の少し横に膝を落として先輩の顔を覗き込めば、床に寝たまま不機嫌な膨れっ面でじっと私を見詰めかえす。

 プッ、可愛い……


「おまっ……笑いやがった、マジムカつく」

 益々ヒートアップした先輩は、上半身をベッドの下に滑り込ませてしまった。

 下半身だけを目の前に残されて。
 一体私にどうしろと言うのだ。


「先輩、出て来てくださいよー」

 お腹を右手で押さえ、ゆさゆさ揺すってみたけれど、

「触んな」

 と短く返された。

 先輩はかなりのご立腹だ。

 仕方がないから手を離して、機嫌が直るまでしばらく大人しく待ってみることにした。


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