恋する! マトリョーシカ


「何やってんですか?
 自分だけ狡いです」

 言って覗き込めば、先輩は大慌てで見ていた雑誌を閉じて頭の下に素早く隠した。


 チラと視界に捉えた表紙には、破廉恥な下着姿の外人女性の写真。
 エッチ本だ、間違いない。


 迷わず私も敵地へ侵入。

「それをこっちへ寄越しなさい!」

 手を思い切り伸ばして、姉崎先輩の頭の下にある汚らわしい物を掴もうとした。

 が、「何で?」と不満げに返しつつ姉崎先輩は、目にも留まらぬ速さで再び頭の下からそれを抜き取り、私の強奪はあえなく阻止された。

 そうしてもう片方の手でベッドサイドを外側から押さえると、グイと肘を勢いよく曲げアッと言う間にそこから脱出した。


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