恋する! マトリョーシカ


 私も続いて脱出しようとしたけれど、豊満な肉体が引っ掛かって姉崎先輩のようにはすんなりいかない。

 だからデブは嫌なのです。
 見たくれが悪いだけじゃなく、すこぶる不便。


「隠したって無駄ですよ。
 必ず見付け出して、そのわいせつ物、私がこの手で抹消してやります。
 姉崎先輩の健やかなる成長と発達のために!
 これも愛ですよ、愛しているからこそ、時に、崖から突き落したりもするのです」

 叫びながらも、必死で身体を押したり引いたりしてみたが、逆にどんどん挟まって完全に身動き取れなくなってしまった。

 あんなにも簡単に侵入できたのに、こんなにも脱出は困難だとはどういう原理なのだ。

 姉崎ベッド、恐るべし。


「そっから出てから言えば?」

 足しか見えない姉崎先輩の、非情な言葉が私の耳に届く。


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