恋する! マトリョーシカ


「じゃあ、じゃあ……
 姉崎先輩は、私とあのエッチ本と、どっちが大事なんですか?」

「…………」

「今、迷いましたね?
 所詮、私への気持ちなんてその程度なんですね」

「いや、くだらねぇ二者択一に唖然としただけだけど」

「酷いです、先輩!」

「ねぇ鈴木さん、俺の話聞いてる?
 ちょっ、すず……」



 大声を上げて泣き出してしまった。
 ショックで悲しくて、どうにも止められなかった。


「あんな物に負けるなんて。
 こんなの屈辱です。
 あんまりです、先輩」

 わんわん喚き散らす、とんでもなくうるさい私を、先輩はそっと抱きしめた。


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