恋する! マトリョーシカ
「あのさ、お前とエロ本、比べること自体がそもそも間違ってっから。
そこに気づくべき、てか早く気付いて。
彼女とエロ本じゃ、その価値も用途も全然別もの、わかる?
例えこの先、お前と肉体的に繋がったとしても、あっちはあっちでお世話になるから。
思春期男子の必需品なの、理解しろとは言わねぇけど、せめて『そんなもんか』ぐらいに納得してくれよ、頼むから」
「理解も納得もできません!
肉棒的に繋がるって何ですか?
お下劣です、卑猥すぎます」
「人のこと言えねぇよな?
お前の方こそ、とんでもなく卑猥な聞き間違いしてっからね?」
「どうして抱擁やめちゃうんですかー!
愛してます、先輩。
私が痩せても愛してください」
「だからそれは本当に痩せてから……
ま、いっか。
うん、愛す、痩せてもお前を愛し続けますよ、俺は」
とても投げ槍な感じではあったけれど、そう言って先輩は再び私をその逞しい両腕で包み込んでくれた。