恋する! マトリョーシカ


「てっめぇ~。
 助けて貰っといてなんだよその態度?」

 彼はグルルと唸った。
 そう見えた。
 まるで野犬だ。


「もう感謝の気持ちはきちんと伝えましたけど」

「どこがだよ?
 あんな人を小バカに……」

「やめなさい、姉崎くん。
 彼女、病人なのよ。
 まぁ自己管理に問題多々有りで、自業自得ではあるけれど」

 高橋先生が見るに見兼ねたのか、助け舟を出してくれた。
 けれども、あまり庇って貰っている気がしないのは何故だろう。


 それよりも。

 姉崎?
 姉崎先輩?
 遊川眞琴(ユカワマコト)先輩の彼氏の?

 ふっ……
 まさかね。


< 8 / 57 >

この作品をシェア

pagetop