愛してると言わないで。




――ピピッ


彼の携帯が震えた。

アタシをチラッと見ながら、携帯の画面を確認する。


彼女からの着信。


なんとなく勘で分かる。


「ゴメン、ちょっと急用。」


大事な日なのに。


でも、仕方ないか。


彼は、あと半年もすれば、どっかの会社の娘と結婚する。


そして、晴れて彼の会社の経営は持ち直す。


そのための結婚。


誰もリストラされないで、みんなが幸せになる。



アタシたちを除いては。








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