Platinum Kingdom【完全完結】



「…少しずつで、いいと思いますよ」

「…え?」

「ゆっくりでいいんです。
ゆっくり、時間を掛けて強くなれば。
それに拓哉様もいつも仰られていました。

『更紗には、“白蕗”と名前がある所為で縛らせたくない。幸せになってもらいたい。だから、俺は頑張らないと。』

―――と。
だから、返って焦って強くなれば、拓哉様はご心配なされますよ」



…兄様。

どうして兄様はそんなに優しいの。

どうしてそんなに強いの?


私には到底真似できないよ。


だけどいつか、兄様のような人間になれたらいいな。

そのためには、


「…私も、兄様に負けないように頑張らないとね」



経験を積むしかないよね。



「…更紗様」

「だって私も、白蕗の人間だから」



そう。

兄様の仰るように、

胸を張って、
前を目指して頑張る。


白蕗家としての誇りを持って、私は一歩ずつ頑張っていこう。


そう決めた。



< 22 / 415 >

この作品をシェア

pagetop