Platinum Kingdom【完全完結】
「…少しずつで、いいと思いますよ」
「…え?」
「ゆっくりでいいんです。
ゆっくり、時間を掛けて強くなれば。
それに拓哉様もいつも仰られていました。
『更紗には、“白蕗”と名前がある所為で縛らせたくない。幸せになってもらいたい。だから、俺は頑張らないと。』
―――と。
だから、返って焦って強くなれば、拓哉様はご心配なされますよ」
…兄様。
どうして兄様はそんなに優しいの。
どうしてそんなに強いの?
私には到底真似できないよ。
だけどいつか、兄様のような人間になれたらいいな。
そのためには、
「…私も、兄様に負けないように頑張らないとね」
経験を積むしかないよね。
「…更紗様」
「だって私も、白蕗の人間だから」
そう。
兄様の仰るように、
胸を張って、
前を目指して頑張る。
白蕗家としての誇りを持って、私は一歩ずつ頑張っていこう。
そう決めた。