Platinum Kingdom【完全完結】
私は涙をこぼしながら、遥翔に訴えかける。
「……多分、過去の“俺”を知ったら、更紗は多分俺から離れたくなるだろう」
「…」
「逆の立場だったら、俺は離れたくなるから」
「…」
「更紗が思っているほど、優しい人間じゃないんだよ、俺は」
ねぇ、遥翔。
知ってた?
優しくない人間が、『優しい』なんて言わないんだよ。
遥翔。
あなたを好きになった理由の中に、『優しい』そういうのがあった。
だけど。
「あなたは“優しい”に確かにかけ離れてるのかもしれない。
ドSだし、俺様だし。
…だけどね」
そう。
だけど、
「私は、あなたの本当の中身をこの数週間見てきたよ。
―――――遥翔は十分優しいよ」
「…俺は―――」
「価値観はみんなそれぞれ違うよ。
だから、私は絶対に意見を覆【くつがえ】さないよ」