Platinum Kingdom【完全完結】
“相澤 雛鞠”
この名前の所為で、
私は相澤家の駒として生きて行くしかない。
…そんなの、百も承知だったのに。
覚悟を決めて居たはずだったのに。
幼いころからずっと。
『あなたは相澤家のために生きて行くのよ』と。
ずっと耳にたこが出来るくらいに、言われて居たはずなのに。
だから、遥翔のことが気に食わなかった。
…あんなになんかませたような、誰にも近づけさせないような大人びた雰囲気に私は気に食わなかった。
何で私はこいつのために。
相澤家の御増資のためなんかに自分の将来を決められなきゃいけないのかと。
ずっと思ってた。
だけど…。
話してみたら違ったから。
『あぁ、この人のためならいいかも』と。
思えたから。
だから、私は遥翔と渉のために。
自分の想いを隠してでも、かなわなくても、いいやって。
そう思ったのに。
今さら、今さら。
どうしてこんなに嫌だと思うのでしょうか。