Platinum Kingdom【完全完結】
「少し黙れよ」
どうしてそんなに怒ってるの?
「…っ」
どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?
「悲しい顔をしたいのは、渉じゃないよ…」
私はもう、大声を出すことも何か憂鬱になって、情けない声で、聞こえてるのか聞こえてないかぐらいの声で言った。
聞こえてなくても、いいやって。
もう、どうとにでもなれと。
「まだ幼かったあの頃、私たちは無邪気にただ『好き』って言い合ったよね」
「…」
「『大人になったら、“けっこん”しよう』って。
結婚できるものだと、私は信じて疑わなかったよ」
「…ひな―――」
「だけど、ここまで大人に近づいたら、嫌でもわかっちゃうよね。
“私たちは結婚できない運命”なんだってこと」