Platinum Kingdom【完全完結】




「少し黙れよ」




どうしてそんなに怒ってるの?




「…っ」




どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?




「悲しい顔をしたいのは、渉じゃないよ…」




私はもう、大声を出すことも何か憂鬱になって、情けない声で、聞こえてるのか聞こえてないかぐらいの声で言った。

聞こえてなくても、いいやって。

もう、どうとにでもなれと。




「まだ幼かったあの頃、私たちは無邪気にただ『好き』って言い合ったよね」

「…」

「『大人になったら、“けっこん”しよう』って。
結婚できるものだと、私は信じて疑わなかったよ」

「…ひな―――」

「だけど、ここまで大人に近づいたら、嫌でもわかっちゃうよね。
“私たちは結婚できない運命”なんだってこと」




< 298 / 415 >

この作品をシェア

pagetop