Platinum Kingdom【完全完結】
あたしは部屋を出て、廊下に出ると。
「更紗」
「…兄様」
兄様の姿。
…どうして兄様がこの時間に?
「拓哉、あなた大学―――」
「…俺は更紗に白蕗の為に自分を犠牲にさせないために跡を継ごうと思っていた」
…兄様…。
「…」
「だけど、それはどうやら間違えていたようだ」
「…」
「…俺が父さんや母さんと良かれと思ってしたことが、更紗を必死にお祖母様から遠ざけたことが、逆に更紗を傷付けていたんだな」
「違う…、違うよ…兄様…」
「…更紗、あなたの実力はわかっていますよ」
「…え?」
今、お祖母様…?
「…あなたの実力と努力はわかっています。
…全国模試で2位。
ピアノコンクールでは優勝。
ヴァィオリンはショパン国際コンクール2位」