Platinum Kingdom【完全完結】
▼愛されていたからこそ
私とお祖母様はそれから私の住まいとしている第二邸を出て、
お祖母様の専属運転手の室畑【むろはた】さんに送っていただいた。
出る直前、
『わかったか?更紗。
前にも言ったけど前を向いて、胸を張って、堂々としているんだ』
『はい、わかってます』
『…相手は相澤グループの御曹司…。
いくら同じくらいの格式のある家柄同士だとしても、失礼のないようにするんだぞ?』
『わかってますっ!』
散々、兄様にお見合いの極意らしきものを言われた。
…何だか、緊張してきた。
大口叩いたけど、
今さら実感湧いてきちゃってる。
…緊張してガチガチの体と引きつってるこの顔に、
不釣り合いなこの可愛らしい着物。
…どうしよう。
模試なんかよりも、
高校の面接なんかよりも、断然緊張しちゃうよ。
私が俯いていると、
「先程拓哉に言われた言葉をもう忘れたのですか」
「…え?」
お祖母様が隣からそう言った。
…兄様の言った言葉…?
―――『前を向いて、胸を張って、堂々としていろ』
「…前を向いて、胸を張って、堂々と…」
「そうです。
…あなたは仮にも、白蕗家の令嬢なのです」