Platinum Kingdom【完全完結】
「お父さんには内緒よ?」
「えー」
「内緒にできないなら、更紗に帰ってもらわなきゃいけなくなっちゃうわよ?」
「わかった!」
言わないよって言ってくれた梓紗ちゃんに、申し訳なく思う。
屈託のないその笑顔は、私の悲しい心をいやしてくれた。
「というわけで更紗、安心してよ」
「うん…ありがとう…マリナ…」
持つべきものは友って、本当だね。
私は少し救われた気がした。
そして、遥翔はいなくなった私を探してくれるのだろうか。
その心配もしてしまって。
「お前なんて、いなくてもどうでもいい」と。
そう言われたら私はどうすればいいのだろうか。
もしかしたらもう、愛してはくれていないんじゃないのかって。
そう思ったらなんだか自分が情けなくなってきて。
また、彼を信じられない。
…どうしてなんだろう。
私は、あの人の妻なんじゃないのかな…。
旦那のことを信じれなくて、妻だと言えるのだろうか。