Platinum Kingdom【完全完結】
こんな面倒くさいことに巻き込まれたくはない。
だから、逃げよう。
そう思ったのは、
「…―――更紗」
どうやら遅かったようだ。
視界の端に上質なスーツを翻し、端正な顔立ちをした男の姿を捉えたと同時に。
「…は、遥翔…」
母さんが、その男の名を呼んだ。
ああ、やっぱり。
ヤバい。
母さんがそう言った表情になったのは、言うまでもない。
絶対に怒られる。
そう思っていることも。
…はあ。
溜め息も吐きたくなる。
毎度毎度、これに付き合わされる俺は。
「車で行けと言ったよな?」
「え…あ…えっと…まあ、うん」
「確認の電話をしたら、案の定こういう結末だもんな」
暁煌も、同罪だからなと。
そう言われるのかと思いきや、