Platinum Kingdom【完全完結】
「…昔はあの子も上の人に自分の今の年齢のせいで、自分の意見がなかなか通じなくて、『もっと年が上だったら』とよく思っていたみたいだけど…。
でも今、遥翔は更紗さんと同い年でよかったと思っているみたいよ?」
「あら、そうなの…?」
「…遥翔は更紗さんに一目惚れみたいなのよ」
―――遠い日の、思い出が2人の脳裏から甦る。
「…私のようにね?」
「…あれからもう50年近く経つのね」
「…青春時かしら?」
「…えぇ」
「今日、更紗に“あの”話をしたのよ」
「…何て?」
「『お祖父様が最終的に愛していたのはお祖母様、あなたよ』って…」
「……ふふ。面白い子なのね」
「…あなたもきっと気に入るわよ、嘉乃」
「…これはぜひ、お嫁に欲しいわね」
そんなことが話されていただなんて、全く知らなかった更紗。
――――運命はもうすでに、
動き出していることも知らないでいる。