Platinum Kingdom【完全完結】



“そうしてくれてる”
と言うのは、海堂先生が雛鞠さんを、雛鞠さんに好きだと思わせないように…って言うことだよね?


…―――海堂先生は、わかっているから…?


いくらお互いがお互いのことを想い合っていようと、“イトコ”にしか過ぎなくて、結ばれることはないって。


自分も雛鞠さんに思いを曝け出してしまったら、雛鞠さんは自分の心をそのままに、何もかもを捨てて自分のところへくるだろうと…。



『…あぁ、嫌になっちゃう。
…何もかもを投げ捨ててでもあなたの傍にいたいっていうのに』

『…私にはわかりません。
…恋愛なんて、したことがないから。

だけど振られるよりも何よりも、思いが伝えられない恋愛はつらいですよね…』

『…まぁ、確かに。
でも彼は今は、私しか見てくれていないから。
…だから、これだけ私は余裕を持っていられるの』

『…』

『…だけど、もう私には時間がない』

『…え?』

『…正式に、…許婚【いいなずけ】が出来るの』



< 92 / 415 >

この作品をシェア

pagetop