Platinum Kingdom【完全完結】
―――許婚。
許婚となったらもう、結婚したと同然。
そうなったら、本当に好きになった人のことはもう忘れなければならない。
…そんなの、残酷すぎる。
―――だけど、雛鞠さんがそこまで騒がないのは、
“嫌”だと言わないのは、
―――わかっていたから。
だと私は思う。
この世界にはそういう人がたくさんいるから。
両想いであっても、その人とは結ばれない。
―――全ては家の為に。
決められた相手の人のところへと嫁ぐのだ。
『…私はたくさんのそういう人を見てきた』
『…』
『…私だけ特別視されるのは間違ってる』
『…それは―――』
違うと思う。
私はそう言った。
『…私は、そうとは思いません。
…愛する人と、一緒になるのに、遠慮なんているんですか?
それほどの愛なんですか?
私は、そんな遠慮なんていらないと思います』